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No.2 インタビュー:布施 克彦さん(ノンフィクション作家)
大人数がみんなで一緒に年をとるのがいい!

プロフィール

布施 克彦さん ふせかつひこ。1947年、東京都生まれ。一橋大学商学部卒業後、大手総合商社に28年間勤務。その間、ナイジェリア、ポルトガル、アメリカ、インドなど、合計約15年間の海外勤務の後、精密機器メーカーを経て、54歳でサラリーマンを引退、フリーに。現在、ノンフィクション作家、大学非常勤講師、NPOコーディネーター、インド企業のエージェント業務など幅広い活動を行っている。著書に『54歳引退論』(ちくま書房)、『団塊の世代だから定年後も出番がある』(洋泉社新書)、『57歳のセカンドハローワーク』(中経出版)など。

団塊サラリーマンの大量定年をめぐる2007年問題がさわがしい。なにしろ700万人弱もの退職者がいっせいに誕生するわけですから、社会に及ぼす影響は 大きいでしょうね。ただし、団塊はただの無機的な塊ではありませんよ。確かに数が多いというだけで注目を浴びてきたのも事実ですが、大人数には大人数なり の強みもあるんです。

競争が激しかったぶん、まとまりもいい

まず、寂しくない。年寄りになるっていうのは、なんとなく孤独なイメージがつきまとっていたでしょう。でも、幸か不幸か、大人数がみんなで一緒に年をと る。定年後の余生は平均20年ほど。シニアのライフスタイルは、今後ますます多様化するだろうといわれていますが、どんな暮らしであろうと、同世代に仲間 も喧嘩友だちも、ちゃんといてくれる。生まれたときから競争社会に放り込まれて、受験だって、就職だって、出世だって、なかなかたいへんでした。苦労する ファクターがたくさんあって、団塊といえばマイナスイメージが大きかったのですけれど、これから先は逆転です。競争が激しかったぶん、この世代はまとまり もいいんです。プラスのイメージが脹らんできますね。大人数であることが、メリットになってくるんですよ。

しかも団塊の世代は目利き。物心ついたときには敗戦の痛手からも立ち直り、日本は経済成長の階段を上りはじめていました。年々豊かになっていく社会で成 長し、価値判断を育ててきました。おしゃれをして、おいしいものを食べて、いい車に乗る。いわば、消費社会の第一期生であるこの世代は、お金とのつき合い 方にもこだわりがある。だから、うんちくを傾けたり、講釈たれたりする人間が多いんですよ。

もうひとつ、忘れてはならないことがあります。団塊は、通過する先々で既存の社会構造をゆるがし、再構築を強いてきた世代です。たとえば学校 に入学すると教室が足りなくて、校舎が急きょ増築されたり、というようなこと。そういうことを全国で起こした世代です。新しい環境におかれる宿命を背負っ てきただけに対応力もあります。豊富な知識と経験を持ち、意欲は満々、健康で元気。さらにバブル期までの勝ちパターンも、バブル崩壊後の負けパターンも 知っている。その世代がもうじき60歳。多くはすでに子どもが独立し、家のローンも払い終わっています。団塊シニアのお金の使い方しだいで消費者が再び変 化する可能性があります。社会全体の消費を活性化させる力も持っています。

60歳はゴールでなく分岐点

今後、60歳という年齢のところにはゴールテープなどなくなっていくでしょう。60歳でやってくる定年を目指して一心不乱に仕事して、その後は悠々自適……ではない道のほうが広がってくる。たくさんの選択肢と可能性がみえています。そしてしだいに、60歳という年齢は特別な意味を持つものでなく、新たな道へシフトしていくための分岐点、通過点に過ぎなくなっていくのではないかと思います。  

定年は終わりではなく、新たな人生の始まり。団塊の一員としては、大人数を武器に新しいシニア像を示したいところです。そう、わいわいシニアライフを楽しむ。まわりをどんどん巻き込んでね。そうすれば、あとに続く世代も、きっと元気なシニアになってくれるに違いない。それが、我々、団塊の使命だと思っているんですよ。

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