調査では金融庁が平成21 年度税制改正要望のなかで唱えている日本版ISA の創設が支持されていることも明らかになっており、これを拡充し前倒し実施するなど、これまで以上に政府主導で迅速且つ大きな方向転換が求められていると考えます。」
上場株式・公募株式投資信託の譲渡益や配当金等に係わる10%の軽減税率が2008 年末を持って廃止され、特例措置として2009 年および2010 年の2年間、500万円以下の譲渡益および100 万円以下の配当金等について10%の税率が適用される。また2009 年から上場株式・公募株式投資信託の譲渡損失と配当金等の間の損益通算が可能となり、2010 年からは配当金等について源泉徴収選択口座(特定口座)における取り扱いが可能になるなどの措2置がとられるが、その制度の複雑さや各種保険料負担への懸念など、様々な影響が取りざたされている。フィデリティ退職・投資教育研究所では、これら投資税制の変更が投資家にどのように受け止められ、また彼らの今後の投資態度にどのような影響があるのかを把握すべく全国の投資家を対象に2009 年度の投資新税制に関するアンケート調査を実施した。(実施期間: 2008 年8 月29 日~9 月3 日)
1.投資税制変更に関する熟知度は2 割以下
まず今回の税制改正に関する熟知度・認知度について尋ねたところ、(税制が)「変更されることもその内容も良く知っている」と答えた投資家はわずか18.1%にとどまり、「変更されることは知っているが内容までは知らない」と答えた人が全体の51.0%と、全体の認知度は高いものの、その内容まで熟知している割合が低いことが分かった。「内容も良く知っている」と答えた投資家に対しさらに何を通じて知ったか尋ねたところ、「マスコミ報道(46.4%)」続いて「取引をしている証券会社や銀行からのダイレクトメール(22.5%)」「同、窓口や担当者を通じて(21.3%)」という結果となった。
2.投資家の7割が今回の新税制を『評価しない』と回答、理由は「確定申告の煩雑さと所得控除への影響」が大
次に対象者全員に今回の税制改正の要点をまとめた説明を例示したうえで、その内容に対する評価を尋ねたところ、「あまり評価しない(43.1%)」「全く評価しない(24.8%)」と合わせて約7 割が『評価できない』とし、「評価する(19.9%)」「高く評価する0.8%」を大きく上回った。
その理由をそれぞれに尋ねたところ「評価する」と答えた投資家はその理由として「軽減税率の撤廃と2 年間の特例措置実施(43.5%)」および「損益通算(43.2%)」を主に挙げており、「評価しない」と回答した人の中には「確定申告が必要になること(20.9%)」「確定申告した場合、所得控除などに影響する可能性がある(37.0%)」を理由として挙げる点が目立っている。
3.投資 - 特に多頻度分配型投資信託への投資にマイナスとの判断
続いて今回の改正による様々な影響について1) 自身の投資姿勢 2)金融市場全体への影響および昨今市場で浸透している3)毎月、隔月といった多頻度分配型投信への影響について考えを聞いた。その結果「投資に対して積極的になる」と答えた投資家は全体の約1 割(「積極的(1.2%)」「やや積極的(9.4%)」)にとどまった。一方「やや消極的になる(45.8%)」「非常に消極的になる(16.6%)」と答えた消極派は62.4%と6 割超を占め、金融市場全体への影響についても「大きなマイナスになる(18.5%)」「ややマイナスになる(54.2%)」と、7割を超える投資家が市場へのネガティブな影響を懸念している。
さらにここ数年続いている多頻度分配型の投資信託ブームに対してその影響を聞いたところ、「プラスになる」とみる投資家は17.7%、「影響なし」は21.6%となった一方、「マイナスの影響がある」と答えた投資家は全体の6 割(60.8%)に達し、ここでも多くの投資家が市場への影響を懸念する姿が浮き彫りとなった。
4.今後「何らかの対策を講じる」と5 割が回答、確定申告対策や口座集約を検討する傾向
さらに客観的な判断とは別途、自身が保有する株式や株式投資信託についてどうするかを尋ねたところ、制度改正を踏まえ何らかの対策を挙げた投資家は約5 割(52.6%)にのぼった。具体的な対策としては(複数回答)「確定申告を避けるため源泉徴収だけで課税関係が終了する投資対象を選ぶ(14.7%)」「確定申告を楽にするため複数ある口座を集約する(11.1%)」「今後2 年間は年間譲渡益が500 万円以下になるよう調整しながら売却する(10.7%)」など、確定申告を避けるための施策、口座を集約するなどといった対応が中心的な回答となった。
5.小額投資家優遇税制に賛同する投資家は過半数
今回実施した調査の直前に、平成21 年度税制改正要望が各省庁から提示されたが、そのなかで金融庁は、小額投資家への優遇税制(日本版ISA)と高齢者投資非課税制度を盛り込んだ。これに対して、投資家にその評価を問う設問を行ったが、前者に対しては「是非進めるべき」と回答した投資家が32.6%、「進めるべきだが範囲が狭すぎる」と回答した投資家が20.7%と、あわせて53.3%が賛同した。一方、後者は賛同37.7%にとどまり、逆に「個別の優遇策より簡素化すべき」32.4%、「高齢者のみ優遇するのでは意味がない」32.6%、の合計65%が反対をしている。
■ 調査期間: 2008年8月29日(金)~ 9月3日(水)
■ 実施者: フィデリティ退職・投資教育研究所
■ 調査対象: 全国で上場株式、未上場株式、株式投信、公社債投信、REIT、その他の投資信託、債券、外貨預金のいずれかを保有している40歳から69歳までの投資家
■ 調査方法:インターネット
■ 有効回収数:6437
【プレスリリース】投資家6000人を対象に新税制のアンケートを実施 PDF(46k) ![]()
KI081009-9